日本のコーヒー史|蘭学者から缶コーヒーまで
長崎・出島への伝来から、喫茶店文化、世界初の缶コーヒーまで。日本独自のコーヒー文化史です。

出島に届いた「焦げ臭い飲み物」(江戸時代)
日本人とコーヒーの出会いは、江戸時代の長崎・出島。オランダ商人が持ち込んだものを、通詞(通訳)や役人が口にしたのが始まりです。
狂歌師・大田南畝(蜀山人)は1804年、その味をこう書き残しています。
「紅毛船にて『カウヒイ』といふものを勧む。豆を黒く炒りて粉にし、白糖を和したるものなり。焦げくさくして味ふるに堪ず」
——散々な第一印象でした。
明治:日本初の喫茶店
- 1888年(明治21年)、東京・下谷に日本初の本格喫茶店「可否茶館(かひいさかん)」が開店。ビリヤードや新聞を備えた文化サロンでしたが、時代が早すぎて4年で閉店
- 明治末〜大正には銀座に「カフェーパウリスタ」などが登場し、「銀ブラ」でコーヒーが流行語に。文化人たちの社交場になりました

昭和:喫茶店の黄金時代と日本発の発明
喫茶店文化の開花
戦後、街角に喫茶店が急増し、1980年代のピーク時には全国15万軒を超えました。一杯ずつ丁寧にネルドリップ・ペーパードリップで淹れる日本の喫茶店スタイルは、のちに世界のサードウェーブに影響を与えます。
世界を変えた日本発のコーヒー
- 1899年:シカゴ在住の化学者・加藤サトリがインスタントコーヒーの製法を発明
- 1969年:上島珈琲(UCC)が世界初の缶コーヒーを発売。「いつでもどこでも」の文化をつくった
- セブンイレブンのコンビニコーヒー(2013年〜)は年間10億杯規模の市場を開拓
現代:世界有数のコーヒー消費国へ
日本は現在、世界第4位規模のコーヒー消費国。ブルーマウンテンやコナといった高級銘柄の最大の顧客であり、キリマンジャロ・モカなど日本独自の銘柄文化も育ててきました。
家庭ではドリップバッグ、街ではコンビニコーヒーとスペシャルティカフェが共存する——「焦げくさくして味ふるに堪ず」から200年、コーヒーはすっかり日本の生活の一部になりました。